ぶみ

イビルアイのぶみのレビュー・感想・評価

イビルアイ(2022年製作の映画)
3.5
目覚める。

アイザック・エスバン監督、脚本、オフェリア・メディーナ主演によるメキシコ製作のスリラー。
病気の妹の療養のため、家族とともに田舎にある祖母の家で暮らし始めたところ、祖母の様子がおかしいことに気づく少女の姿を描く。
田舎に暮らす祖母をメディーナ、少女・ナラをパオラ・ミゲル、ナラの母・レベッカをサマンサ・カスティージョが演じているが、いずれも、初見のキャストばかり。
物語は、ナラが妹ルナの療養のため、両親とともにレベッカの母親・ホセファの家に訪れるシーンでスタート、早々に治療方法を探すために両親がいなくなってしまうため、姉妹と祖母が人里離れた家で同居するというソリッドシチュエーションで展開。
そして、そこでメイドとして働くアビゲイルから、村にまつわる伝説を聞くとともに、祖母となるホセファが単に躾に厳しいだけかと思いきや、徐々に不穏な行動が目についてくるようになる様が描かれ、何が現実で、何が夢か混同させるような演出により、恐怖感が増幅。
そうこうしているうちに、怪しげな村の儀式があったり、呪術アイテムが登場したりと、オカルト色が強くなっていき、想定外の真相に一気に傾れ込むこととなる。
人里離れた屋敷に、謎の病気、村に纏わる不気味な伝承と、ダーク・ホラーとしての雰囲気は抜群である反面、原題である『MAL DE OJO』を訳した邦題が『邪悪な目』となるのだが、今ひとつ意味がわからなかったし、アリ・アスター監督『ミッドサマー』が「フェスティバル・スリラー」と名乗っていたのに対抗してか、本作品は「セレモニー・スリラー」としているが、ピンとこなかったのが正直なところ。
小粒な作品ながら、メキシコの田舎町を舞台とした恐怖の物語の真相は、なかなか衝撃的であり、監督の過去作である『パラドクス』や『ダークレイン』をチェックしたくなった怪作。

そんなのは都会の流行さ。
ぶみ

ぶみ