大好き。ウェストン・ラズーリ長編一作目。目出し帽を被ってお手製ペイントボール銃を背負い、ミニバイクを駆る二人の少年兄弟と一人の少女。三人は"不死身のワニ団"という悪ガキ集団だった。その日、彼らはOTOMOという如何にもすぎる名前のレトロゲームを物流倉庫から強奪して兄弟の家に持ち込むが、家のTVはロックが掛かっており、風邪で寝込む母親にパスワードを訊くと代わりにセリアの作ったパイが食べたいと言われ、セリアの店に行くと売り切れと言われ…というように、現実世界までゲームのクエストのように進行していくことになる。そして、順調にクエストを進めた先に、魔法の剣一味という怪しすぎる集団に行き着き、三人は"卵を奪い返す"というバカすぎる目的のために見知らぬ山に踏み込んでいく。選択の嘘くささやわざとらしさ、妙な浅さと変な壮大さなんかもまた、選んだ選択肢以上に人物が動いてしまったときのことを思い出していた。16mm撮影や妙に懐かしさを感じるチープな音楽など、レトロフューチャー感のある雰囲気が段々癖になってくる。『Here Comes Hell』とか『Dawn Breaks Behind the Eyes』の前半とかみたいな、現代技術で懐古的に撮る映画も色々あるが(私がこれしか観てないだけ)、本作品はフィルム撮影によって更に懐古に歩み寄った感じか。冒頭とか文字のフォントも相まってホークホラーみたいだったし。ガチ勢しか知らんような映画をカッコいいパッケージで配信販売するヴィネガー・シンドローム社が配給に入ってたのを見てなんか納得してしまった。我ながらこれは流石にチョロすぎるだろ。