広島カップ

コンサート・フォー・ジョージの広島カップのレビュー・感想・評価

4.6
「ビートルズの四人の中だったら誰が好き?」
「ん?、オレはジョンだな」
「......」

私がビートルズを聴き始めたのは中学生の頃。丁度ジョージが「ジョージ・ハリスン帝国」という新しいアルバムを出した頃です。
秋葉原の電気街のレコードコーナーをあちこちの店を巡って最終的に購入を迷ったのが、ジョンのベストアルバムか?ジョージのニューアルバムか?の二択。
結局私が人生初!自分の小遣いで買ったLPレコードは..
ジョージのものでした。

彼の代表曲をこれだけまとめて聴いたのは初めてだったのですが、こんなに優しい曲ばかりだったのかと改めて思いました。
ジョンにもポールにも絶対書けないし歌えない曲ばかり。
ソングライターとしてのジョン、ポール、ジョージを比べると曲調の差は明確です。大雑把にいうとジョンはロックっぽく、ポールはなんでもござれ、ジョージは叙情的。シンガーとしてはジョンはロックっぽく、ポールは芸達者、ジョージは甘くて繊細。
ジョージ、これは明らかに女性リスナーのハートをガッチリと捕まえるのに充分な条件が備わっているではないですか。
劇場には私より年上の一見してビートルズ世代とわかる紳士淑女が大勢来場しており、終映後はグレッチを構えたジョージが大きく写る映画ポスターの前で記念撮影をする淑女の皆様が順番待ちしていらして実に微笑ましい光景でした。
もちろん男性のファンも多く、何よりこうしたコンサートが開催される事実がそれを証明しています。
クラプトンを始めポールとリンゴは勿論のこと腕利きのミュージシャンが参集して、ジョージそっくりの息子ダニー君を取り囲んでいるのを観ていると、まるでジョージ本人がステージにいるようで目頭が熱くなります。
私としてはこの場にジョンがいたらなぁという思いが沸いてきます。

最初から最後までこんなにハートウォーミングで優しい雰囲気のコンサートフィルムは初めて観ました。
ジョージ・ハリスンでなければ成し得ない2002年、彼の一周忌の追悼コンサートでした。

※「ジョージ・ハリスン帝国」収録の"You"を演って貰えたら更に良かったのにぃ。
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