回想シーンでご飯3杯いける

BAD LANDS バッド・ランズの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)
2.5
大阪を舞台にした特殊詐欺グループの話。

裏社会用語と関西弁で捲し立てる脚本が特徴。良心の呵責無しにお年寄り等から金を騙し取る人達が大量に出てくる。しかし、全体の雰囲気は特に胸糞感が強い訳でもなく、雰囲気重視のマイルドな後味しか残らないのだ。

先に挙げた裏社会用語の多用と、大阪の古い街並みを使ったロケで、それっぽい世界は構築できているのだが、彼らの仕事にあるはずの背景や目的が見えてこない。安藤サクラ演じる主人公を搾取していたボスにも今ひとつ狂気が感じられない。知名度の高い俳優達の、イメージ通りの演技に頼った、手堅い作りのドラマという印象を全く超えてこない。

主人公の弟分を演じるのは旧ジャニーズ所属の俳優。そして制作には藤島ジュリー景子の名前がクレジットされている。最近気付いたんだけど、このパターンが邦画を駄目にしてきたのではないか。役者の所属事務所社長に制作上の権限を与えてしまったら、人物設定や登場シーンのバランスが崩れてしまうのは、素人目にも明らかだ。

これから日本の芸能/映画業界が変化していく事に期待したいけど、そんなこんなで、最近は豪華キャストを売りにする邦画を観るのが少し億劫になっている。良い役者は沢山いるので、それを世に送り出す仕組みの部分(ジャニーズに限らず)が変わらないと、とても勿体ない事になると思う。