やなせ

哀れなるものたちのやなせのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
美術や衣装が綺麗でおとぎ話みたいな世界観の中で、人間の欲求を表現した映画。
幼児的な愛しさの中に奇妙さのあるベラだが、幼い頃(蘇生直後)から解剖で死体に触れる環境で育ったにも関わらず、過剰に”死”を悪として捉えているように感じた。例えば、灼熱の地の赤ちゃんの死を目の当たりにして泣き崩れ、一助となるよう金を譲渡。将軍に対してもそうで、瀕死状態の彼をわざわざ手術室まで運びヤギの脳を移植して生かした。もしかしたら、本当は死にたくなかった(けど死んだ方がマシ)というヴィクトリアの生存欲求の現れなのかもしれない。
逆に、エンタメ的に描写された性的欲求はベラが成長する中で芽生えたもの。蘇生されたベラを初めは可哀想で奇妙にも見えたけど、欲求に貪欲なところに人間味を感じて少しずつ愛くるしく感じた。

“熱烈ジャンプ”の言い回し、カジュアルで個人的に好きです。
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