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哀れなるものたちのcigaretteのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ヨルゴス・ランティモス監督のド変態な人しか出てこない、キテレツな映画。

しかし、役者は豪華。
主演は、ララランドのエマ・ストーン。
天才外科医役に、スパイダーマンの敵、ゴブリンのウィレム・デフォー。
セフレ役には、ハルクのマーク・ラファロ。

知らなかったけど、アラスター・グレイの小説が元。
奇妙なストーリーながらも、登場人物が少ないし、複雑さは無いので、内容自体は、かなり分かりやすいです。



以下、ネタバレありのあらすじ。

妊婦のベラ (エマ・ストーン) は、クレイジーな夫のDVに耐えられず、橋の上から飛び降り自殺を謀る。 

川で脳死したベラを拾い上げた、天才外科医のゴッドは、ベラのお腹にいた胎児の脳を母体に移植することで蘇生に成功。
ベラは、ゴッドと、召使いと、ベラの成長記録係のマックスと一緒に暮らす。

しかし美しい淑女なのに、幼児レベルの知性しかないベラは、お漏らしするは、食べ物は手づかみだわで、大変。しかし、純粋無垢なベラは手間がかかるが、ゴッドやマックスにとって、かわいい存在だ。
ベラは、マックスと仲良くなり、婚約をするが、厳格なクリスチャンのマックスは本能剥き出しで迫るベラの貞操を、結婚式まで守ることを決意する。

幼児能のベラだが、スキル吸収力に優れており、言葉を覚えだし、次第に外の世界にも、興味をもつようになった。 

ベラは、屋敷に出入りするダンカンに誘われて、外への興味から、屋敷を出て駆け落ち状態で、旅へと出かけた。
旅で、飢餓に苦しむ子たちを目の当たりにしたベラは、博打好きなダンカンの財産を勝手に全額寄付してしまい、ダンカンと大喧嘩になる。ダンカンは、ベラのヘソクリを奪い逃走する。
無一文となったベラは、娼婦宿で雇われることに。

娼婦宿でベラは、いろんなタイプの男性や、レズビアンな娼婦友達と、まあまあ平和に過ごしていた。

そんな矢先、ベラへの復讐に燃えるダンカンが、脳移植前のベラの元夫男をベラのところへ連れてきた。

移植前の自分がどんな風に暮らしていたのか知りたかったベラは、元夫の屋敷で暮らすことにするが、すぐに元夫のエグいDVさがわかり、元夫を半殺しにし、脱出する。

ゴッドの屋敷へと戻るベラ。しかし、ゴッドは、程なくして病死してしまう。

幼児脳から、すっかり独特な感性を持つ才女へと変貌したベラは、ゴッド亡き後、お屋敷で、ゴッドが脳移植したベラ2号的な女性と、婚約者のマックス、娼婦レズビアンの友人、牛の脳を入れられたDV夫と一緒に、奇妙ながらも穏やかに暮らしましたとさ!
おしまい。


…なんともクレイジーな内容でした。

ラストは美しい庭に、各々が好き勝手して暮らしていて本当にカオスな絵面だったなぁ。

ヨルゴスは過去作でも『もしも…』の世界を独自の視点で描いてきた監督で、今回も、
もしも胎児の脳を大人に移植したらどうなる?という、空想物語となっている。
前作の、女王陛下の〜よりも、ヨルゴスらしさがあって、わたしは好きかも。

あと、ヨルゴス作品あるあるとして、
動物と人間、その中間的なものへの執着と、
閉じ込められた空間での教育(純培養)、
金持ちや地位名誉ある人を変態扱い、
常識をすっ飛ばし、強引に展開する異次元ワールド があげられます。
しかもアカデミー賞とったからか、予算いっぱい使えるから、映像美も凄い。

ベラの衣装が、肩まわりの袖が丸く巨大で、下は小さめ半ズボンみたいなアンバランスな服が多く、特徴的。
背景は絵画のような不自然な空模様で、建物はガウディっぽく、室内でもゴテゴテのキッチュ(悪趣味)感があって、全てが凝りまくって素敵。
みんなに観てもらいたいけど、なんせ内容が、変態エロあり、脳手術シーンありで、オススメしにくい。

一人で観に行くのが正解の映画です。
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