ゆめちん

哀れなるものたちのゆめちんのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
哀れなるものたち
 
エマ・ストーンとヨルゴス・ランティモス監督のコンビ目当てと、今年度のアカデミー賞に11部門ノミネートされたということで、公開前から楽しみにしていた1本。

ロンドンに住む若き医師のマックスは、風変わりな天才外科医のゴッドから助手の誘いを引き受ける。マックスに与えられた仕事は、ゴッドの屋敷で暮らす不思議な女性 "ベラ" の日常を詳細に記録することだった。
 
ランティモス監督の過去作は何本も観ているが、予算がつけばつくほどよりインパクトのある作品を作るという印象。美術や衣装など全体的にクラシカルな雰囲気を漂わせ、お洒落な映画を観ている感覚にさせつつも、性描写の方がより印象に残る "作り" がいかにも監督らしい。

何かで読んだがランティモス監督この作品の権利を買ったのは2011年だそう。映画化したのがその当時ではなく、"#Me Too" などで女性の権利への意識が高まっている今というのがタイミング的にもぴったり。
 
エマ・ストーンの文字通り体を張った演技は圧巻。体は大人だけど脳内は赤ん坊というアンバランスなベラの成長を通し、世の中を見つめていく物語なので、ある意味大胆な性描写が必要だったと観終わって納得。どのシーンも密度が濃く最後まで目が離せず、観終わるとぐったり。
 
ベラが成長していく過程を、言動や行動だけでなく衣装でも細かく表現されているのが面白く、最初はモノクロだったロンドンも最後に戻ってくる時はカラーというのも非常に効果的。
ゴッドを演じるウィレム・デフォーを含め、脇役陣のアクの強さも本作品の魅力に。
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