みどり

哀れなるものたちのみどりのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0

誰のものでもなく私の物語

大人の身体に宿った小さな脳
一度捨てた命が天才外科医によって蘇る

はじめは好奇心旺盛
なんでも手に取り好き放題する毎日
…でも窮屈な日々に飽きたら次は外の世界に憧れる

ダンカンと熱烈ジャンプに明け暮れる日々は最高
楽しくて気持ちよくてしあわせだったのに
いつしか自分を縛る存在に違和感を感じて、世界には苦しむ人たちがいることを知っていく
出会う人からすべてのことを素直に吸収できるのは子供の側面があるからかな

すべて失ってから初めて
自分でお金を得ることを知るも、娼婦をばかにするダンカンに「自分で稼いでる」と言うベラがとてもかっこよかった。

モノクロな世界が不協和音と魚眼レンズの多用、そしてカラーへと広がっていく
子供心から少しずつ自我を持ち、自立していく女性はとてもすてきなのに
まわりにいる「哀れなるものたち」はそれをよく思わない。無知で無邪気で、自分の言うことを聞くほうがかわいくてしかたがないみたいに。

抑圧された生活から逃れるために命を絶ったはずが博士との巡り合わせによって蘇生された新しい身体
ベラという存在として生まれ変わって見えてきたもの
解放でもあるし、成長でもある
知ること、実践することが大きな一歩にもなるって勇気にもなった



📝
見る前からいちばん不安だった性描写のシーン、まあほんとうにすごかった
こういうのを見ると俳優さんの負担は大丈夫なのかと思ってしまうので、今回インティマシーコーディネーターの方が間に入って撮影されていることも知って不安が軽減されたし、役者さんへの配慮が感じられたことも含めてよかった。
支配される存在だったり、ダンスシーンだったり、独特な撮り方、音なんかは過去作とも通ずる部分があって答え合わせみたいで楽しめた
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