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パラダイスの夕暮れのkarmapoliceのレビュー・感想・評価

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)
3.8
Varjoja paratiisissa:アキ・カウリスマキ監督、脚本、ミカ・カウリスマキ製作、マッティ・ペロンパー、カティ・オウティネン、サカリ・クオスマネン出演、ティモ・サルミネン撮影、1986年フィンランド作品。「労働者3部作」の1作目。

仲間の死によって独立の道を断たれた、ゴミ収集車の運転手ニカンデル。スーパーのレジ係イロナに恋をした彼は、彼女をデートに誘ったものの・・・・2人の恋の行方は・・・・。

あとのレニングラード・カウボーイズや「敗者3部作」も好きだったのでこの3部作も観る事に!この頃から変わらないセンスがあるなと思いつつ、変化した部分も楽しむことが出来たと思う。余計なものを削ぎ落して観せたいものを浮き彫りにしていく手法はそのままだ。少な目のセリフ、無表情で淡々としたリズム、歌詞も含めたここぞと言う時の音楽の使い方、皮肉や風刺の挿み方は変わらないだろうか。色彩感覚も抜群ながら、かなり色数が多く汚れた感じの映像も多く巧く使っている印象。あとの「労働者3部作」はより洗練されアート的な画面が多くなっている印象だろうか。時代もあるだろうが皆タバコをよく吸う(笑)

とにかくニカンデ(マッティ・ペロンパー)とイローナ・ラジャマキ(カティ・オウティネン)の着かず離れずの関係が楽しい。不幸も背負った2人をシニカルに描きつつもかなりコミカルなニュアンスも多い。2人はなかなか笑顔を観せないがかなり気まずく可笑しなシーンが多々あると思う(笑)物語がどんどん転げ落ちていくように展開するが、実はあまり進展しないのがこの物語の良さの様な気がした。序盤からすると意外とも言えそうなラストには安堵とほっこりした気分にさせてくれる。また観たいと思う。次作も観よう!
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