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異人たちとの夏のkarmapoliceのレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
4.0
The Disincarnates:大林宣彦監督、市川森一脚本、山田太一原作、風間杜夫、片岡鶴太郎、秋吉久美子、名取裕子、永島敏行出演、篠崎正嗣音楽、阪本善尚撮影、1988年作品。

「ちっとも食べなかったじゃないか・・・・」(涙)

かなり久しぶりの再鑑賞。当時学生の頃通っていた美術教室の先生から「完璧な出来の邦画の1本」と言って勧められ、その後個人的にもお気に入りとなった懐かしい作品。久しぶりに観ても良かった!ノスタルジックな80年代の浅草を背景にした両親との再会。引っ越したばかりの人気のないマンションでの妖しげな女性との出逢い。家族愛、孤独同士の女性とのミステリアスな情事、ホラー仕立てな設定が素晴しく奇妙なアンサンブルになって魅力を増していると思う。

けっこう違和感の連続でもあるシーンを速やかに巧くファンタジックにノスタルジックに展開していく演出はさすが大林監督だろうか。鶴太郎の江戸弁演技も抜群にハマっている。

久しぶりに観るとオープニングのテーマ曲を聴いた時からノスタルジックだけど少し奇妙な弦楽器のメロディに惹かれる・・・と思ったら音楽担当の篠崎正嗣さんはあの「ラストエンペラー」で胡弓の演奏にも参加していた人らしく、そのリンクにも感激した(笑)プッチーニの引用ばかりが目立ち全然話題にもならないが、テーマ曲もこの作品に凄く合っていて個人的にはいい映画音楽の一つだと思う。

浅草のシーンはどれも映像として観応えがあるが、やはりすき焼きのシーンは堪らないものがある。大林宣彦作品で1番好み。リメイクで再注目されて嬉しい気分!また観たいと思う。
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