レーシング・ゲームの勝者が実際のモータースポーツに参戦する、というワクワクする嘘のような本当の話はすごく斬新で、企画は秀逸。期待して自宅テレビの配信で鑑賞しましたが、本作は劇場で観るべき映画だったようです。
目玉のレース場面が編集上のスピード感を出すためか、「走っている場面」→「エンジンの発火」→「ハンドル操作」など、カットと視点が細かく頻繁に切り替わるため、落ち着かない。結果、「レーシングカーに乗っているような没入感」を十分に味わえないのが（CGが素晴らしいだけに）少し残念でした。もっと走っている視点を長く見せてほしかったです。まあ、劇場で見ると印象変わるのかもしれませんし、レースの場面はたっぷりあるので文句はありませんけれど。
人間ドラマとしては「少年ジャンプ」的な展開で、まあ思った通り。一応、父との確執やコーチとの友情、恋人とのエピソードは描かれるもののステレオタイプで、同ジャンルの「フォードvsフェラーリ」のようなドラマ的な深みや味わいはありませんでした。
監督のニール・ブロンカンプさんは「第九地区」や「チャッピー」で無秩序とテクノロジーの混沌を独特のスタイルで描いた面白い監督でしたが、本作では残念ながらあまり冴えが見えませんでしたね。次回作に期待してます！
