こなつ

四月になれば彼女はのこなつのレビュー・感想・評価

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)
3.8
45万部突破のベストセラー恋愛小説「四月になれば彼女は」(川村元気)の待望の映画化。10年に渡る愛と別れの物語。佐藤健、長澤まさみ、森七菜の共演はやはり魅力がある。予告編を観ていた時は、初日にも行くような勢いがあったのに、評価が分かれていたのでちょっと心配しながら鑑賞。

冒頭の「天空の鏡」と呼ばれるボリビアのウユニ塩湖の神秘的な映像に心奪われる。物語が始まると、原作を読んでおいた方が良かったかなと思える展開に、置いて行かれそうになった。

結婚を控えていた精神科医・藤村俊(佐藤健)のところに学生時代の恋人・伊与田春(森七菜)から手紙が届く。世界各地を旅行しながら藤村に送る手紙には、初恋の瑞々しい思いと共に二人が出会った頃の記憶が綴られていた。そんなある日、藤村の婚約者・坂本弥生(長澤まさみ)が突然姿を消す。「愛を終わらせない方法、それは何か?」そんな謎かけみたいな言葉を残して、、、

春が10年前の恋人に手紙を送った理由は徐々に分かってくるのだが、婚約者の弥生の失踪は弥生の心理状態が良く分からなくて不思議だった。何故彼女は春の居場所が分かったのか、何故春のそばにいたいと思ったのか、弥生の心の奥深くをもっと知りたいと思った。藤村にしろ弥生にしろ、ちゃんと相手を愛しているのか、愛されているのか、もどかしい気持ちが画面から伝わる。弥生は満たされない自分自身がやりきれなかったのだろう。

友人の仲野太賀も中島歩もそれぞれ良い味を出していた。竹野内豊がしっかりお父さんの顔になっていて、何だか時の流れを感じてしまった。河合優実ちゃん、出番少なかったけど存在感のある演技が印象に残った。

エンディングに流れた藤井風の「満ちてゆく」の歌詞に聴き入った時、急に胸が熱くなって、この作品が語ろうとしていた儚さが少し理解できたような気がした。
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