ころん

ペナルティループのころんのネタバレレビュー・内容・結末

ペナルティループ(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ループものといえば失敗を繰り返しながら正解に近づいていき目標を達成するものが圧倒的に多い。でもこの作品は真逆。そこが面白い。
恋人を殺した男(死刑囚)を毎日殺す主人公(執行者)。そんな日々を繰り返すうちに、執行者と死刑囚は互いにループしている記憶を保持していることに気付く。あえて違う行動を取ってみるというのはループものの定番。ある日、執行者は死刑囚をボーリングに誘う。しかし殺す意志はないにも関わらず死刑囚を殺してしまった。
それから奇妙な友人関係が生まれるふたり。殺し殺されることは確定しているという諦めからなのか、ゆる〜く会話して殺し殺され、また次の日も会う。

ループの仕組みにVRを使っていたのも新鮮で面白かった。現実では復讐のために誰かを殺したら犯罪になってしまう。でもVRの世界では強制的に相手を殺すことになり拒否権はない。もちろん犯罪にもならない。VRでの出来事とはいえ、人間の感情はVR世界とはそもそも仕組みが違う。殺したいくらい憎い相手を殺し続けて満足できるのだろうか。現実に戻ってから元の生活に戻れるのか。ペナルティとは誰に対するペナルティなのか。

ループものとして新しいアプローチが面白かったし、世間の変化と共に変わっていく倫理観についても考えさせられる。でもふたりのゆる〜い会話が良かったなぁという感想が真っ先に出てくる不思議な作品。

溝口もペナルティループに同意したことがあるのかな?唯が抱えていた秘密とは?と疑問も残るけどそれを考えるのも含めて楽しめました。
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