ちゃそ

タイタニックのちゃそのネタバレレビュー・内容・結末

タイタニック(1997年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

舞台は1900年代初頭。まだまだ「階級」によって有している文化や交流する人が大きく変わってくる時代。周りから見れば恵まれており、誰もが羨むような境遇であるはずだったローズは、決められた道に辟易としており、自由を求めていた。賭け事で運良く船に乗り込むことになったジャックと出会うことで、彼女の人生は大きく動き出す。

身分によって流れる空気が異なるさまを交互に描くことで当時の「常識」や2人の出会いがいかに異常かつ奇跡であったかを克明に描く。嫌気がさし、将来への道を閉ざそうと船の縁に足をかけた彼女は、いつしか生きるために同じ場所で運命に抗おうとする。その場所は奇遇にもジャックと共に自由を感じた場所でもあった。

有名なラストシーンをはじめとして、印象的な場面が非常に多い。今までジャックのことは誰にも明かさず、心の中にしまっておいた彼女。ジャックとの永遠の別れを心の底では否定し、彼女の新しく自由な人生を共に歩んでいた。もらった相手は違うけれど、タイタニックでの思い出の数々を心で繋いでくれる象徴として大切に持っていたに違いない。ジャックのことを初めて人に打ち明けることで未練を断ち切り、そして気持ちを整理することができた。彼が力尽き、沈んでいった海に、元の場所に首飾りを戻す。台本にはないものであったというが、それをうまく表すのにとてもふさわしい行動であった。

歩むことができた自由。彼女が俳優として生きたその後をジャックに見せるために写真を持ってきたのだろうか。馬にまたがる彼女はきっとジャックと一緒に乗っている気分だったに違いない。タイタニックは単なる悲劇の場所ではなく、彼女にとってかけがえのない人生のターニングポイントであり、自由の象徴であったのだろう。悲しい作品であるにも関わらず、どこか温かみを感じる、そんな印象を受けました。
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