このレビューはネタバレを含みます
一番好きな役者は松岡茉優です。
めちゃくちゃ良かった。
いい意味でストーリーのラインがないというか行き当たりばったりというか、起承転結がハッキリしていなくキャラクター達の行動によって映画があっちこっち行く感じが面白い。
コロナ禍を真っ向から描いた作品であり、アベノマスクやらなんやらの小ネタも今のうちに観とかないと数年後にはピンと来なくなるかもわからん。
不快な登場人物ややり取りが多く邦画にありがちなこういったシーンは基本好きでは無いが、序盤の宅飲みで松岡茉優が言った様にそう言った人・言動をカットせずなかった事にせず描こうという気合いを感じた。
だいぶコミカルで最初はブラックコメディ的な苦笑いしてしまう様なシーンが多いが実家に帰ってからはその辺のリミッターが外れてくる。だからと言って脱線したり話の邪魔になっているわけでもない。
嘘と本当、隠す隠さない、という事が何度も描かれそもそも映画そのものが嘘じゃないかというセリフもあり。
父親が死んでからのシーンで、父親がそこにいるように描きつつカメラの中では父親がいない、という普通逆じゃん?という演出がなされていて面白い。映画と現実どっちが嘘とかないんだなぁという。
松岡茉優を贔屓にしているし相変わらず松岡茉優は最高だった(特に家族に対してキレるシーン。『っぬるぅいんだよ!!』とか)。しかし佐藤浩市・池松壮亮・若葉竜也・窪田正孝もめちゃくちゃ良かったなぁ。
出番少ない役者も皆良かった。
特に池松壮亮は今まで苦手だったし今作も敢えてなんだろうが分かりやすく「演技してます」みたいな話し方で最初どうかと思ったけどかなり良かった。
140分という長尺に加えあっちこっちに話が飛び後半は松岡茉優と窪田正孝の2人がメインじゃないんかい、というめちゃくちゃさがありながら常になんか面白いの連続で、バランスは悪くて不細工だがとにかく好きな映画だった。