チョーヒカル

関心領域のチョーヒカルのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.7
いびつだった。関心領域だけを見せられる中で、それゆえの広大な無関心領域があまりにも果てしなく、グロテスクだった。

アウシュビッツの実情を映画で伝えることはとてもできないのだと思うのだけど、一切収容所の中を見せないことでその底なしの残酷さが伝わってきたんじゃないかなと思う。

美しい植物溢れる庭の背景に佇む無機質な壁がそれだけで人を人と見なくなる装置になっていて、美しさとの対比で皮肉的に無関心の残酷さが浮き彫りになる。常に「いい人」の姿勢の妻が時折精神が揺らいだときに見せるいびつさ。サウンドデザインも不気味すぎてすごく良かったです。

人間(私含む)はこんな歪なことができる生き物なのだと自分で認識しておかないとなと思いました。
妻役の人の演技すごかったな。

最後のシーンで、無関心の代償を静かに見せられた。