Keigo

枯れ葉のKeigoのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
4.1
2024年最初の映画鑑賞はケリー・ライカートの『ファースト・カウ』のリベンジ(2回目)だったが、ちょうどそのあとの回が『枯れ葉』だったのでそのままの流れで。

戸愚呂兄弟ばりに名前だけは聞いていたカウリスマキ兄弟の弟さん、アキ・カウリスマキ監督の作品はこれが初鑑賞。

何の根拠もなく勝手なイメージでいわゆる“奇才”的な監督かと思っていたので、内容が案外オーソドックスで驚いた。ただ、ザ・王道かと言われるとそんな感じでもなくて、何かしら思いもよらない隠し味が入っているような独特の味わいがある。

他を観ていないので今作がどの程度アキ・カウリスマキらしいものだったのかは分からないけど、好きな雰囲気だったなー。衣装とか美術の色づかいが綺麗だし、抑制された人物の描き方も好き。ユーモアがあって思わず口角が上がってしまうようなシーンもあるし、カラオケのシーンの観客の空気感とか絶妙だった。

時代設定は現代も現代なんだけど、描かれていることは現代的というよりむしろ古典的。それがあえてのズレなのが伝わってくるからこそ、そこに奥行きを感じる。

どうやら監督は一度引退宣言をした後に数年空けて今作でカムバックしたみたいだから、この次があるのかは分からないけど、他の作品も観てみたいと思う。アキ・カウリスマキ監督、気になる存在になりました!
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