このレビューはネタバレを含みます
え?これがパルムドール??観終わって拍子抜けしたが、昔からカンヌとは感性が合わないとは思っていたのである意味納得。エンタメ性ゼロ、どんでん返しもカタルシスも無いことは織り込み済みだったが、肝心の人物描写が致命的に不足していると感じた。
本作のようなオープンエンディングには、自殺も他殺も十分に有り得ると思わせるだけの説得力のある描写が必要な筈だが、この映画は、どちらも描写不足で説得力が無く、両者が拮抗するという荒業をやってのけた。
なので、夫の立場で考えると「自殺する程に追い詰められてるとは思えないが、、」と疑問が残るし、妻の立場で考えても「殺す程に憎いか?夫が生き続けても実害無いのでは?」と首を傾げてしまう。
3時間もあるんだから、弁護士との下らない恋模様を描くんじゃなくて、もっと主要人物の妻と夫を深く掘り下げることに時間を割くべきだったと思う。
子どもの「目が見えない」という設定について、夫婦喧嘩のタネになっているという意味で作劇上の必要性は理解するけど、それ以上でもそれ以下でもない。
目が見えないんだから、子どもの前で事件が起きるべきだろうに、散歩から帰って来たら父親が死んでたんだったら、目が見えてても見えてなくても同じでは。
犬の演技は良かった。