みむさん

墓泥棒と失われた女神のみむさんのレビュー・感想・評価

墓泥棒と失われた女神(2023年製作の映画)
3.5
ヨーテボリ映画祭にて。

エトルリアの遺物を持ち出すことで金を稼ぐワケあり英国人考古学愛好家と遺跡荒らし団の物語。風変わりロマンスの雰囲気もあり。

ジョシュ・オコナーが不機嫌で無愛想な英国人アーサーを演じている。
刑務所から出たアーサー、失った愛を探しつつ過去を悔いて反省するわけでもなくそれなりに町になじんでいるが…。
まあとにかくゆるくて不思議で優しい雰囲気はいくつか観たアリーチェ・ロルヴァケルの過去作と通じる部分あり。

口数少ない英国人アーサーとよくしゃべる町の人たちのドタバタ劇になりそうなところを、ユーモアをじっくりゆっくり敷き詰めて小笑と優しいタッチで進んでいく。なのにやっぱりファンタジックに見えるシーンも入れてくる。
現在と過去、生と死、人と精霊、歌、音楽、ダンス、人生をかけて掘り起こすもの。
過去は封じ込めたままにしておくべきか…なんてことを考えながら、なんだかんだでラストにじーんとしてしまう。

ちなみにタイトルにもなっているキメラとは、実現不可能な幻想や夢という意味の他に、寄り合いの団体所帯、由来が異なる複数から構成される物…みたいな意味もあるみたい。なるほど。