まきいちろう

PERFECT DAYSのまきいちろうのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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点数を付ける事はできないけど映画館で観れて良かった
役所広司はんぱない

トイレ清掃員平山さんのルーティン化された日々を垣間見る作品

平山さんの所作・行動パターン、暮らしのレイアウトは美しいまでに最適化されていて
似たような日々が繰り返し描かれても飽きなかった

映像の静謐さや僧侶のように清掃を行う平山さんを観て、この映画が"zen movie"と呼ばれているのも納得できたし、ドイツ人の監督がここまで違和感なく日本の禅を表現できることが驚きだった

共に暮らす家族もなく、物質的に豊かというわけではないけれど
本と音楽と木を愛する平山さんの穏やかで美しい暮らしを見ると
「足るを知る」が精神的豊かさに必要だと気づける

と同時に、ラストの平山さんの表情は
喜びの中に深い悲しみをたたえているように見えて、
精神的に豊かに見える平山さんも孤独の中に苦しんで生きているのだと思ったし、
家族や物質的豊かさなど俗っぽい幸せを追究する事と、「足るを知り」精神的に豊かである事のバランスって本当に難しいし死ぬまで悩み続けるんだろうなと思った

平山さんのアパート周辺散策したいな〜

この作品を観たならば
YouTubeでヴィムヴェンダース監督インタビュー「平山という男はどこから来たのか」も観てほしい

インタビューを見ると、
大前提、「平山がなぜこのような暮らしを選択したのか?」に対する答えは監督含め誰も分からないものの、
①平山さんは元々成功したビジネスマンだったのではないか?
②そんな暮らしの中で、平山さんに「自分が心からやりたい事だけに時間を注ぎたい」と思わせる『何か』があったのではないか?
など想像を膨らませる事ができてオススメ