Keigo

PERFECT DAYSのKeigoのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.9
2023年最後に観る作品はこれにしようとなんとなく決めていた。自分にとっては大切な一本である『パリ、テキサス』を撮ったヴィム・ヴェンダースと役所広司とのタッグとなれば、それは自ずと期待も高まった。

目黒でイ・チャンドンのドキュメンタリーを観てから渋谷へ移動。劇場へと歩いた。その道中にひとつだけ引っかかることがあった。それは広告の量。当日渋谷に行く前にも都内のいくつかの場所で目にしていたけど、特に渋谷はすごかった。あらゆる所にデカデカとこの映画の広告が貼りだされているのを見て、なんとなく違和感を覚えた。映画がこれだけ宣伝されて盛り上がることは、映画好きとしては大いに喜ばしい事なんだけど…なんだろう。言葉を選ばずに言えば若干のきな臭さのような…上手く言語化出来ないけど、そんなことがうっすらと気になっていた。一体どんな内容の映画が、こんなにも大々的に宣伝されているんだろうと…

そして観終わった感想は…
うん、悪くない。嫌いでもないし、良かったのは良かったけど…うーん。というなんとも煮えきらない感想。2023年最後の映画鑑賞となれば、スッキリと絶賛して収めたかったものだが…。

とはいえ、感じたままに書かなければ何の意味もないのでモヤモヤしたままを書いたらこんな感じになってしまいました。内容に関して書く前にすでに、泡立つほどに茶を濁しまくり。


一言で言うなら海外から来た観光客が日本料理を食べて感動しながら、日本の良さを語ってくれる動画をYouTubeで見て悦に入るような、そんな感覚。そういう動画が悪いと言いたいのではないし、自分もそれを見て誇らしいと思うこともあるし、この映画が綺麗事ばかりだと揶揄したいわけでも無いんだけど…うーん。なんとなく自分が求めていたものと違ってただけなんだろうか。

そもそも海外の監督が撮った作品だし日本の描写に多少リアリティが無くてもそれは一向に構わなくて、それでも日本で撮ろうと思ってくれたことが嬉しいし、自分の国のことだからより敏感に感じるだけというのも大いにあると思うけど、正直に言うと「たしかにこんな生き方が出来たら素晴らしいかもしれないけど、そんな奴はいないだろう」となってしまったのです…。

こういう映画が大々的に宣伝されて、それを日本人が大勢観て絶賛するその空気に、何か言いくるめられているような、なんならそこにヴェンダースが利用されてしまったのではとさえ思ってしまうような、何か息苦しさのようなものを感じてしまった…そんな感じだろうか。


…とダラダラ書き連ねてみたものの、それでも個人的に3.9というスコアは決して悪いものではなく良いと思える部分も確かにあったので、ちょっと偏ったレビューになってしまっている気もする。でもこれが率直な感想かな。自分が音楽にもっと造詣が深ければ、もう少し違う感じで受け取れたかも?とも少しだけ思う。

生で踊りを観て感銘を受けたアオイヤマダさんが、かなり重要な役どころで出演されていたのは嬉しかった!
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