Melko

タブロイド紙が映したドリアン・グレイのMelkoのレビュー・感想・評価

3.1
「さようなら、ドリアン・グレイ…あなたは私のために生き続ける。永遠に…」

うーん。
長かった……久しぶりに途中で何度か寝落ちかけた。
マスコミのでっち上げる物語に翻弄される若者という、見ていて心の踊らないストーリーだったのもあるし、何より、何度も挟まるオペラシーンが退屈で退屈で……

写真と写真の間、場面と場面の間にある真実を隠して都合の良いように書き立てることで潤うマスコミ稼業。冒頭から社をあげての悪巧みが始まる。この作品のように、
「最近売り上げ伸びないわねぇ…そうだ、ある人物を私たちの都合の良いように操作して、持ち上げて落としてやりましょう。四六時中監視をつけて、写真も撮りまくるのよ」なんて言われてターゲットにされたら、たまったもんじゃない。
報道の自由を盾にして好き勝手する、権利を履き違える奴らが多い。
「誰でもカメラマン」などと、個人で撮った動画をメディアへ投稿し、全国ネットでテレビに流せる時代になってしまった現代なら尚更。

最初から最後まで見守らず、一部の興奮を切り取ると、誰かを完膚なきまでに傷つけることがある。
文字は剣よりも強くなる時があるのだから、どんな仕事よりも思慮深くなければならないのかもしれない。

新聞紙まみれの舞踏会、海岸でのオペラなど、印象に残るフォトジェニックなシーンは沢山あるものの、一つ一つのシーンが私には無駄に長く感じた。そんなに引き延ばさなくても…と。

男性であるドリアンを女性のスーパーモデルが演じたらしい。やはり年齢って首に出るのね。若者の役だったけど、ご本人は当時40代半ば。しかも、
男爵家に次女として生まれ、5歳で父親と死別。父はヒトラー暗殺未遂事件で逮捕、処刑された首謀メンバーの1人。母は労働収容所へ、娘3人は児童収容所へと別々に収監され、戦後は知人を頼りに各地を流転。転校先では「殺人者の娘」と紹介され……
とめちゃくちゃ壮絶な半生を送ってらっしゃる。
どうりでなんか儚い目というか、阿片(?)でボーッとしている時の目線がすごく物憂げで印象的だった。
スラッとした手足に高身長なので、オールバックにスーツ姿が宝塚の男役のようで、よく似合っていた。

登場人物は、今まで2作見てきた人たちが勢揃いといった感じ
それにしても、英語はまだ分かるけど、フランス語とドイツ語で会話が成り立つ世界観ってどうゆうこと…?
タブロイド紙のムカつく編集長を演じたデルフィーヌ・セリッグ、出てる作品によってイメージが全然変わる。良い役者さんなんだな。
アンダマナ役、オッティンガー常連のタベアのお胸は美しい
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