一人旅

私がやりましたの一人旅のレビュー・感想・評価

私がやりました(2023年製作の映画)
4.0
フランソワ・オゾン監督作。

フランスの鬼才フランソワ・オゾンが手掛けたクライムコメディで、とある殺人事件をきっかけに出世を遂げた新人女優の数奇な運命を描きます。

1930年代半ばのフランスを舞台にした作品です。売れない新人女優のマドレーヌが、起死回生の奇策として、著名な映画プロデューサーが拳銃で殺害された事件の犯人が自分であると嘘を付き、法廷で世間の同情を買う弁論を披露し無罪を勝ち取り、一躍時の人となって映画や舞台への出演依頼が舞い込みスターダムを駆け上がっていく…というクライムコメディです。

女優として成功するため法廷と世間を騙した新人女優と、彼女の女友達である新米弁護士、そしてプロデューサーを実際に殺害した往年の大女優という3人の女性たちが繰り広げる嘘と欲望に満ちた心理の駆け引きを描いた作品で、女性の権利が制限されていた30年代フランスを生きる女性たちのしたたかさと不屈の心をウィットに富んだ会話の応酬の中に描き出した“女性映画”となっています。また、30年代フランスを再現した情景&ファッションも華やかな魅力に溢れています。

ナディア・テレスキウィッツ&レベッカ・マルデールが見た目を含め対照的な女性二人を軽快に好演していますし、ラスボス的に登場して画面を賑わせる名女優イザベル・ユペールも流石の存在感を放っています。
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