MasaichiYaguchi

海辺の恋⼈のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

海辺の恋⼈(2023年製作の映画)
3.4
いまおかしんじ監督の20代の頃をもとにした本作は、夢と現実の狭間でもがき、葛藤する男女の姿を恋模様を交えて描く。
カメラアシスタントの百合子と売れない大道芸人シンジは海辺の町で出会って恋に落ち、シンジが百合子の部屋に転がり込む形で一緒に暮らすようになる。
互いの夢を応援しながら寄り添って生きる2人だったが、百合子は師事していたカメラマンにパワハラを受けたり、シンジは先輩芸人に泣きつかれて金を貸してしまったりと上手くいかず、2人の関係は次第にぎくしゃくしていく。
そんな中、シンジは百合子がようやく開催に漕ぎつけた個展に展示された、2人が出会ったばかりの頃の懐かしい写真を目にする。
何故あんなに愛し合って楽しかったのに恋愛には終わりがくるのか?
監督自身の若い頃のほろ苦い経験を投影させた本作は、映画に登場する写真同様に、たとえ別れたとしても、その愛した記憶は消えないし、今も何処かにいる昔の恋人にエールを送っているような気がする。