おと

ミッシングのおとのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.2
俳優の攻めた演技が「迫真の演技!」となりがちな風潮は正直好きではないのだけど、今作の石原さとみの演技はとても良かった。
演技力とはまた違うベクトルの、作品・役にどれだけ時間と身を費やしたかという非常に地味でかつ強力な方法で演技が押し上げられていて、実力というよりは情熱に凄みを感じ、これだけ役に向き合う根性を持った俳優だったんだなと思った。

それと、吉田監督作品はこういった少しだけ誇張された現実とそこに彩られる希望で構成されたものが多いと思うけれど、この人はいたずらな試練を課すのが上手いんだなあと思ったりもした。
もちろん演出もしているのだろうけど、その場に立つと自然と役が一人でに歩き出すような、脚本の構成段階でもうほぼ決まっているような気がして、演出家というよりは脚本家の才なのかも?

技術面ではライティングの使い分けがはっきりされていたのが印象に残って、抑えられたシーンとしっかりと当てられているシーンとで空気感がしっかりと演出されていたのが良かった。
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