笹春

さらば、わが愛/覇王別姫 4Kの笹春のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

新文芸坐にて鑑賞。人間の持つ一筋縄ではいかない複雑な感情を、激動の近代中国の姿とともに、身体芸術と映像芸術を通して描き出した見応えある傑作。
レスリー・チャンの美しさと、鏡、ガラス、カーテン越しのショットが印象深い。
蝶衣の小樓に対する想いはきっと「恋愛」のように単純化できるものではなかった。幼少期をともに過ごした小樓に対する愛と、自分から離れていく小樓への憎しみ、京劇を通じた絆と並々ならぬ執着。きっとこれらが入り混じったのが、蝶衣の「愛」。この複雑な感情を、時代の運命に翻弄されながらも貫こうとする姿が儚くも美しい。互いに憎しみ合いながらも、どこか求め合い(母と子のように)、情を感じている蝶衣と菊仙の関係性も興味深い。
笹春

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