スワヒリ亭こゆう

コヴェナント/約束の救出のスワヒリ亭こゆうのネタバレレビュー・内容・結末

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ガイ・リッチー監督はスパイ映画は撮っていますけど、彼の監督した映画で本格的な戦場を舞台にした作品は初めて観ました。
ジェイク・ギレンホールが主演というのも興味深いです。ガイ・リッチー監督作で兵士の役ならジェイソン・ステイサムが演じそうですけど、作品を観ると納得出来ます。ジェイソン・ステイサムだと強すぎるんです。
今回の主人公ジョン・キンリー軍曹は負傷兵なので、ジェイク・ギレンホールの方が合ってます。それとジェイク・ギレンホールの方が生きるか死ぬかのハラハラがありますね。ジェイソン・ステイサムならどうせ生き残ると決めつけてしまいがちです。

ジョン・キンリーは米兵側の主人公です。もう一人主人公がいてアフガニスタンで米兵相手に通訳をしているアーメッドがいます。
僕は普段から予告はあまり見ないんです。本作も少しだけ観ましたが、アフガニスタンの敵だらけの中で負傷した米兵がアフガニスタン人に助けられる話ぐらいにしか知らなかったんです。

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それでも間違いではないんですけど、タリバン相手に孤立した二人。負傷したジョンを連れて米軍基地まで100キロも決死の逃避行。僕はこれで終わりだと思ってました。先日観たジェラルド・バトラーの『カンダハル』も同じような映画だったんです。
だから、ガイ・リッチー監督作だから観に行きましたけど面白いかは半信半疑でした。
本作は大きく前半と後半で分かれます。
今、言っていたストーリーは前半部分なんです。
ジョンが無事に米軍に救出されてからが後半なんです。

映画の冒頭。9.11以降アフガニスタンに送られた米軍の数とアメリカのビザを渡すのを条件に集められたアフガニスタンの通訳の人数が明示されます。
多くの通訳がいた事を最初に示した意味が後半で明かされます。
言わずもがなガイ・リッチー監督は英国人。
アフガニスタン紛争には英国も参加してましたが本作はアメリカの話です。
ジョンが救出されますが、アーメッドは?
アメリカ人を助けた英雄と見るアメリカ側の視点と反してタリバンからは裏切り者として懸賞金をかけられ逃亡を強いられるんです。
アメリカのビザは即時発行などではなく、何ヶ月も待ってようやく…というか渋々発行している状況。(これは僕の憶測ですが無かった事にもされてるでしょうね。)
アーメッドは死ぬ気で助けてくれた。その恩返の為にジョンは再びアフガニスタンへ。

この展開は予想してなかったのでめちゃくちゃ良かったです。
ガイ・リッチー監督は『アラジン』を撮った頃から、より作品に深みが出来て良作を作りますね。
本作は日本人が大好きな義理人情のストーリー。
米兵としてではなく、個人としてアフガニスタンへ行ってアーメッドを助ける話にしたのは良かったです。で、ジェイソン・ステイサムじゃなくてジェイク・ギレンホールだからこそ決死行になるんです。
ハラハラしました。

映画のラストでアフガニスタン紛争終結後、タリバンが政権を奪りアメリカに加担した多くのアフガニスタン通訳が殺された事を知りました。
決してアメリカ凄いでしょう。義理人情に厚いでしょう。っていうプロパガンダ映画ではない事が本作で語られた事はとても大きいです。
アフガニスタン紛争の約20年は一体なんだったのか?を問う作品になっていたと思います。