456京都公式

ゴッドランド/GODLANDの456京都公式のレビュー・感想・評価

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)
5.0
数多あるキリスト教映画の中でも異色の作品だと思う
非キリスト教者から見たキリスト教というか
すこし遠藤周作(キリスト教者)的な視線というか
登場人物をみてもわかるように相当ひねくれているのだ

主人公のルーカスは
司祭か主教かわからんヴィンセントにむちゃぶりされて
自分は命がけで
まさしく神にすべてを捧げているのに
おいしいところは上司が持っていくばかりで
自分に別段見返りがあるわけでもない
まぁ灰原哀のむちゃぶりを必死で乗り越えても
寝てるだけの小五郎の手柄にしかならない江戸川コナンくんも
ふつうだったらひねくれてるよ
ヴィンセントに
現地に馴染もうとしなさい
と言われるのって
テイタン小学一年生からやり直すぐらいの過酷な命令じゃないの?
ルーカスみたいにあきらめて当然の試練やで

おまけにルーカスは
すべてを神に捧げているのに
その神すら自分の味方をしてはくれないのよ
通訳も十字架も失うのだから

キリスト教圏では日本と違って
自然と神は絶対に別物やけど
そのいずれの怖さもやさしさも
すべての民に平等ではあっても
決して公平ではないわけなのだ

ドラマチックなのはラグナル(を通しての自然)が
ルーカスに歩みよる場面
そして結局は相容れないという事実
もう懺悔の値打ちもないよこれは

動物の死体がタイムラプスで分解されていくのは
この前「ZOO」で観たばかりだけど
ラストのルーカスの行動や怒涛の展開に
きっちりつながっているのだった

誰にも感情移入できない作品だったけど
映像はホントに美しかった
ハリウッドのなんちゃって雪山ディザスター映画とは
比較にならない素晴らしい構図
画のためのセットやロケーションではなく
自然をたしかに切り取って
絵画のようにデザインしていて圧巻だった
天気はどんよりしてるのにそれがまたいいのよ
アタクシの性格が
どんよりしてるのもあるけどね