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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のHRKNのレビュー・感想・評価

5.0
どんなCGや演出を用いても及ばない、文字通り「命がけ」の映像記録。

まずはこの映画に出てくる映像を撮影したAP通信の記者に敬意を表したい。あえて映画のレビューとしてのスコアをつけるべき作品か悩んだが、凄惨な戦場の中、その職業的使命を全うした偉業を評価すべきと思いスコア5とした。

自分は元々、このウクライナ戦争はロシアに非があると強く信じている。しかし政治的立場や歴史的経緯、他の国の他の戦争や虐殺への加担状況から、このウクライナ戦争への評価は個々人によってそのニュアンスや程度の強さは異なるだろうと思う。

とはいえ、ことマリウポリ(あるいはウクライナ戦争全体にも言えるかもしれないが)についていえば、ロシアが攻撃をやめさえすれば、多くの犠牲が回避できるのは確実である。

犠牲を払い、焦土と化した都市を得てもロシアとしても総じて得はないはず。そんな気狂いロシアは日本にとっても隣国の一つ。またロシアと仲良しの準「ならずもの国家」である中国と北朝鮮も併せて隣国にかかえる日本はこのことを他人事と捉えるべきではない。未来の日本になる可能性を踏まえて見るべき映画。

今年のアカデミー賞を受賞した邦画「ゴジラ-1」「君たちはどう生きるか」はエンタメ作品であると同時に、日本の過去の戦争を意識させるものだった。作品賞の「オッペンハイマー」もこれに深く関わる話だった。長編ドキュメンタリー賞を受賞した今作も、日本の未来を考えるうえでは必見とも言えるだろう。
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