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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のにのレビュー・感想・評価

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今作の話の前に紹介したい作品がある。
昨年秋に山形国際ドキュメンタリー祭2023で「東部戦線」だ。
この作品は、監督自身が頭にカメラをつけ、攻撃に晒される救急車の中から前線の様子を届けてくれていた。

今回の「マリウポリ20日間の記録」ではAP通信の記者が開戦後唯一残った記者として、開戦から20日間の出来事をカメラに収め、届けてくれている。

前者は前線で、ロシア軍との兵士間の戦闘や医療班の決死の搬送を追いかけ、後者はマリウポリの街のなかで、攻撃に巻き込まれれた市民をドキュメントしていた。
ウクライナ侵攻のドキュメンタリーの当事者と、見てきた周辺の人々を、どちらの作品も真摯に撮り続けている。

どちらの作品も、言葉にならない光景や、出来事が続く。
悲惨な状況が世に出てこなければ、権力が風潮する言葉だけが一人歩きし、現実に起きてることを計り知ることもできない。

作中で何度か記者の身に危険が迫る。もしかしたら、この映画をみることは叶わなかった現実もあったかもしれない。
撮影できる状態があり、然るべき発表場所まで無事に記録が届いてこそ、作品が見れている。その事実を、噛み締めざるおえない。

ロシアーウクライナ戦争だけではなく、誰の手にも届かず戦場で消えた記録もあっただろう。
その場に残っている人たちが無事かどうか知ることはできない。
ただ祈るだけだと記者は語る。
自分ならどうするかを、常に投げかけてくる。
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