みかぽん

パスト ライブス/再会のみかぽんのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.8
初恋の人かぁ…。若い頃ならいざ知らず、この歳になると思い出すこともなくなるけど、例の如く、自分と誰かに重ね、思いを巡らす鑑賞パターン再び。

小学生の時、転校してきた冬でも半ズボンの✖️口君に、私は人生初の一目惚れ。彼を好きだった痕跡は、チビでいつも席が前の私が✖️口君見たさに振り向き、椅子を二つ足にさせそのまま後ろにずっこけた黒歴史?位しか浮かばないわ…😅。

それほど浮かれていたくせに、中学に入れば、登山実習(と言うのがあった)で動けなくなった私の手を引き、一緒に頂上へ登ってくれたクラス委員の△田君の優しさに速攻メロメロ(?死語?)。恋心はすっかり上書きされたけど、その後、女子人気ダントツを自覚し、すっかりチャラ男に成り果てた△田君に幻滅。気づけばどうでもよくなっていたのが二度目の恋の顛末。
なんだか異様に惚れっぽい?当時の私、あるいは今に至るまでの出会いと別れを振り返っても、今でも会いたい人がいる?と聞かれれば…。中2の1学期に隣の席だった○山君には会いたい、と答えるかもだ。

○山くんは絵が抜群に上手くて、授業に退屈すると先生の似顔絵を強烈デフォルメ攻撃でささっと描き上げ、そのノートを私の側にしれっと寄せては悶絶させてくれた(私は笑い声を堪えるのに日々必死だった💦)。
○山君のパブリックイメージは物静かな真面目くんだったから、私は誰も知らない彼の才能とキャラクターに、今で言うところのギャップ萌えをしていたのだった。

ある日の授業中、○山君が私を見つめているのが分かった。当初「大方、私が今回のお笑いネタ対象だな」と内心ニヤニヤしていたが、そのうち見つめられることへの動揺で感情が収拾不能に。どうして良いか分からない緊張と言うか、おそらく途中からは怖い顔で何処か一点を見つめていた気がする。
当の○山君は授業が終わる前にノートを閉じてしまい、完成した絵を見せてくれることはなかった。私も知らん顔をした手前、私のことを描いたでしょ。見せてよ、とも言えなくへんてこりんな雰囲気に。

そのまま夏休みが始まり、私はその間、気づけば○山君のことを考えていて、隣席で過ごす2学期を心待ちにしていた。しかしその先、○山くんは私の隣には現れなかった。担任の先生は我々に「○山は病気療養中だ。暫く休む」とだけ伝えた。そして秋になっても、冬になっても○山君は教室に戻らなかった。その間に噂が流れ、○山は薬が効かない結核に罹ったからなかなか退院できないらしい、と聞いたが、真偽のほどは分からない。

恋の予感のその先を、最後まで見届けられなければ、本作のヘソンのように恋心だけが心の宇宙に漂い続けるのかも知れない。想いは独り走りし、もしかしたら、あったかも知れない出来事を想い重ね、それを手繰り寄せようとするのかも知れない。

戻して、1学期だけミニョンが重なった○山君には、何より元気に回復したかを聞きたい。あとは年齢を重ね、おそろしく厚顔無恥と化した私は、あんときなんで私を書いたの?ん?ん?ん?と面白がりたいんですけど😁😁😁。←瞬殺で呆れられ、そして嫌われそうだ…。

多くの場合、人は歳月と共に別の要素が満載となってしまうけど、思い出は留まり、美しいままに別枠で生きてしまう。それはもう、誰のせいでもないけれど(全然ロマンチックじゃなくてごめんなさい🤑🤑)。
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