私にも忘れ難い人がいるからとても共感したし、だからこそ見送りのシーンは本当にそれでいいの？とも思った。いろんな意味で"大人"になってしまったのだろう。今、彼女はノラであり、かつてはナヨンだった。同じことがヘソンにも言える。束の間再会したことでかつての思いが甦る二人。ヘソンがノラに素直に対峙していたら、彼女は受け入れたかもしれないと思う。そして彼女の夫はその可能性を感じていたし、もしそうなっても潔く愛を手離そうとしていたのではないか。しかし、実際にはそうはならずにヘソンはテンプレートのような挨拶のみで帰路についてしまう。きっともう会うことはないだろうという思いとともに。異国の夜明けの淡い空の下、ヘソンは一体何を思うのか。ヘソンは臆病だったのではなくて、今のノラを、彼女が輝ける環境を尊重したんだと思う。これも大人になったからこそできた選択で、たとえ自分のもとに居なくても世界のどこかでノラらしくいてくれたら…立派な愛の終焉だと思う。けど、私なら結果がどうなろうと気持ちを素直に吐露するだろうな。
