今年、最初に感涙を流した映画。
わたしはラストシーンでもう堪えきれず…
横の友人はほとんど最初から泣いていた。
監督の初の長編作品とのこと。
アイルランド映画としてはじめてアカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた本作、陽光がただひたすらに美しい。4:3のつつましいスタンダードサイズにもかかわらず、映画全体の静けさが余計、映り込む風景の豊かさを際立たせる。
1980年代のアイルランドについて知識は全然ないけれど、
片田舎特有の雰囲気
明らかに裕福ではないコットのお家(日も入らず、ずっと薄暗い)
随所に滲む家族の歪さ
英語を学ばされている子どもたち
コットがどんな時代に生まれたのか
日々どのような扱いを受けて生きているのか
セリフも多くないのに感じ取れる。
最初から最後まであまり自ら言葉を発することのないコットだけれど
彼女の心が動く時
映像はじっとりスローで
繋がれた手や、美しい風景を映し出す
それがもう泣けて泣けて...。
彼女の感情のゆらめきは
九歳らしい生命力の発露は全て
親族の家に移り住んでからの 陽光に照らし出された美しい横顔やロングヘアの数々が映し出していました
夏が始まり、夏が終わる時に映画も終わる。
ささやかでつつましく
陽光にきらめいていた短い夏は
すぐに終わってしまう
彼女は結局元いた暮らしの中に帰るのだけど
物語はそこで終わるのだけど
ああ、この夏の思い出を胸に
当たり前の愛を 当たり前に差し出されたこの夏を胸に刻んで
どうか世界の歪さに負けず、人の愚かさに打ち砕かれず、真っ直ぐなあなたのまま強く生きてほしいと小さな九歳の女の子に願わずにいられない
感涙…
個人的DVDをコレクションしておきたいシリーズに加えます。