ユーライ

ゴジラxコング 新たなる帝国のユーライのレビュー・感想・評価

4.7
思ったより全然悪くない。中途半端に肩に力を入れて臨まなければならなかった『-1.0』より、期待しないで観たらまぁまぁだった程度の方が精神衛生上良い。チャンピオンまつりとは言うけど、より正確に言えば志向されてるのは『南海の大決闘』『ゴジラの息子』といった福田純のゴジラ映画。若大将の真似しちゃうっていう、あのノリです。トンチキな怪獣ドラマは楽しいけれど何だかんだ予想の範疇に留まるのに対し、出色なのは巷で馬鹿にされ腐っている人間ドラマ。周囲とコミュニケートを取れない少女、娘とすれ違っている母親、チャラいヒッピー風の兄ちゃん。これら問題のある人に限って怪獣と相対出来る、という視点。前作から続投された救えない陰謀論者のオッサン、バーニー。こいつに監督が一番感情移入してるのは誰がどう考えても明らかで、全幅の信頼を置ける辺り。真面目に平成ガメラの大迫さんばりにレギュラー化して欲しい。コングもゴジラも良いもんです人類の味方ですよろしくなあ!みたいな感じなんだけど、普通に人死に出しまくる底抜けの明るさの裏にある不謹慎性が○。律儀にモブの人的被害を正々堂々映す。冒頭から巨大感はガン無視で行くスタンスではあるのに対し、都市破壊は結構真面目に怪獣映画してる。そこからラストバトルになるとミニチュアっぽい箱庭感マシマシ。大胆な割り切りで結構なことだと思います。まぁよくよく考えなくても脚本はおかしなとこだらけで、そもそも主役がゴリラなら子分もゴリラで敵もゴリラっていくら何でも茶色過ぎるだろとか未だにオリ怪獣がクリーチャー然としてるのは何とかなんねぇのかとか色々あるけど、こういうお手軽なプロピクを和洋一年ごとに公開していって、時たま『対ヘドラ』のような突然変異爆誕が一番理想的っすよね。
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