テッサロニキ映画祭にて。
自殺未遂をした弟を心配する兄と母、ずっと三人の様子を追うドラマ。
弟ダミレの悲しみや苦悩は何なのかははっきり語られず、演じるゴラン・マルコビッチの囁くような台詞と表情で想像するしかない。
心当たりがない兄と母もおそらく同じ。
警察や病院の機械的で事務的な対応に、焦りとこみ上げる感情をなんとか抑えながら話す母兄をよそに、ダミレは静かに遠くを眺めてる。
大丈夫だろうと思って気が緩んだわけではないと思うが、落ち着きそうになると何かが起こる。
母兄同様、見ているほうも心配で仕方がない。
無駄を削ぎ落とした作りだったが、たまーに不思議な描写がチラリ。
ポケットから出したたばこに火が付いている、タバコが消える、喋っていたダミレが次の瞬間寝ている、消えている等。あれはなんだったのか。
そして、ダミレは何を思っていたのか。ラストシーンに映る映像を見て思う。