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せかいのおきくの旅するランナーのレビュー・感想・評価

せかいのおきく(2023年製作の映画)
4.3
【2023年度キネマ旬報ベストテン上位作品2本立て②】

キネマ旬報日本映画第1位。
糞のような世の中に、美しい恋が咲く、青春時代劇。
さすが、阪本順治監督だけあって、新感覚のモノクロ幕末時代劇を作り上げてます。
カラー4Kになんてされたら、しばらくカレーが食べられなくなります。

声を失っても心の美しさは変わらない、おきく(黒木華)。
糞まみれになって働く、中次(寛一郎)と矢亮(池松壮亮)。
若者三人が懸命に生きる姿を、コミカルに切なく優しいタッチで描きます。
雪降る中、おきくと中次が抱擁するシーンは、美しく微笑ましいです。

お殿様でも、下々の者でも、おきくちゃんでも、上から食べたものを下から出す。
「下肥(しもごえ)買い、汚穢屋(おわいや)」という職業を前面に出し、人間なんて同じもの、職業に貴賎なしという世界観を映し出す、糞面白い映画です。

ちなみに「2023年度キネマ旬報日本映画ベストテン」は以下の通りです。
1.せかいのおきく
2.PERFECT DAYS
3.ほかげ
4.福田村事件
5.月
6.花腐し
7.怪物
8.ゴジラ-1.0
9.君たちはどう生きるか
10.春画先生