マレーボネ

みなに幸あれのマレーボネのネタバレレビュー・内容・結末

みなに幸あれ(2023年製作の映画)
1.9

このレビューはネタバレを含みます

『みなに幸あれ』
久しぶりに観たの後悔するレベルでつまんなかった映画。

「幸福は誰かの犠牲の上に成り立っている」という題目をホラー方面でエスカレートさせた、っていうアイデアは分かるんだけど、全部口で説明してるだけだし、映像やシチュエーションにテーマを補強するような説得力があるわけでもなく、ただのシュール映像集って感じだった。

あのシチュエーションに説得力持たせるには、

・あの地元が常軌を逸して閉鎖的であること
・警察や法の秩序の範囲外であること
・主人公が無自覚に搾取していることを裏づけるエピソード
・生贄おぢを飼うことと家族に起こる異変の因果関係
・生贄になりたがる心理に共感できるだけのエピソード

素人が考えるだけでも少なくともこのくらいのことは説明されないといけないはずなのに、それらがほとんどない。
田舎ってだけで法の手が届かないほどの閉塞感はないし、「お前もそうだろ!」って言われても「具体的に何が……?」って共感できないし、「ウチにはずっといない」って言われても「いや、ちゃんと健康に育って働けてるじゃん」「は?急になんで自分が生贄になんの?」って感じで全然納得できないし、緊張感もない。

そういったストーリーに説得力を持たせるための描写は全くなく、貴重な時間はジジババの指舐めとか出産シーンとかナンセンスな叔母捜索にあてられてるという……。

無駄すぎる。

何度も口頭で繰り返されるテーマも、芯を食ってるように見えて、アフリカの子どもとか突飛なこと言ったり、中身のない幸せ論ばっかりで全然身につまされるほどの掘り下げも考察もない。
ホラーとしてもドラマとしても中途半端すぎた。

もともと短編映画として賞をとった作品と聞いて納得。80分も観れる内容では全くない。
長編にするなら掘り下げは不可欠だったのでは。

女優さんの絵力がある感じと、序盤のジジババの不快感(いい意味で)は良かったんだけど……。

そもそも「なぜ逃げない?」「なぜ警察を呼ばない?」っていう基本的なものに解答を与えないまま、見せたいものだけ見せてくるので非常に不愉快。

祖父母が人を監禁してる!→警察なんぞ行くか!私が助けるんや!
人死んでる!地域ぐるみでヤバイことやってる!→叔母探しの聞き込みや!

まず警察に行けよ……。

考えうる対策を全て取ったうえでさらに追い詰められるのがホラーの醍醐味なのに。

自己防衛怠ってるだけの馬鹿を見せてくるな。80分も。

おもしろくなかったです。
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