ワンコ

コペンハーゲンに山をのワンコのレビュー・感想・評価

コペンハーゲンに山を(2020年製作の映画)
3.8
【コペンヒル】

このスキー場を備えたゴミ焼却発電施設は「コペンヒル」と呼ばれている。この接地面が人工的な素材のスキー場は季節を問わず利用可能だ。

この作品は2つのことをメッセージとして伝えようとしている気がする。

ひとつは「ゴミを出すことを可能な限り減らして、残りは可能な限りリサイクルして使い、更に残りは焼却し、エネルギーとして利用する」

これは世界共通の望みだ。

この施設には煙突がつきでているが、可能な限り突き詰めた排出物の処理の後、そこから出てくるのは水蒸気だ。

そして、モダンな外観を備えた「ゲレンデ + 公園 + ボルダリング壁」

こうした箱ものプロジェクトにありがちが予算オーバーは日本も同じだと思うが、コストコンシャスな参加者から強いプロジェクトの見直し要求もある。それがリアルだ。

しかし、コスト削減には尽力しながらも、本来のゴールは何だったのか、ぶれない姿勢は維持するのだという落としどころが、2つ目のメッセージだ。

個人的なエゴや、コスト増加を垂れ流す東京オリンピックの施設建設とは大違いだ。東京オリンピックの施設は、その後も維持コスト圧力が続くが、このコペンヒルは、電力を生み出し、人が集う場所を提供し、なんといってもデンマークの首都の本来は無機質だったであろう地にモダンなデザインを兼ね備えて、ランドマークのごとくそびえている。

日本には、山は必要ないと思うけれども、箱もの施設の発想の転換を促すようなきっかけになればいいと思う作品だった。

ただ、映画としては、何か高揚感をもう少し欲しい気がした。
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