回想シーンでご飯3杯いける

マイ・エレメントの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

マイ・エレメント(2023年製作の映画)
4.2
2015年の「インサイド・ヘッド」から始まった、ピクサーによるスピリチュアルワールドの、ひとつの到達点だと思う。

おもちゃや虫など、人間以外のキャラクターをメインにする作風が特徴だったピクサーが、人間の感情という目に見えない要素を主人公にしたのが、先述の「インサイド・ヘッド」。そして、今回は自然界を形成する4大元素(エレメント)である「火・水・土・風」を、実社会における人種のような扱いで捉え、それが共存する都市エレメント・シティを舞台にした群像劇に仕上げている。

その発想も凄いけど、再現が難しいであろう、それら元素を高い映像技術で具現化し、キャラ設定まで描き分けるのだから凄い。設定に寄り過ぎず、かつ、映像にも寄り過ぎない。その2つの要素が相乗効果となってストーリーを盛り上げる。

今まで映画で描かれた事のない世界観で「インサイド・ヘッド」や「ソウルフル・ワールド」を観ていないと、やや面食らう部分もあるかもしれないけど、ストーリーそのものは「ロミオとジュリエット」や「ウエスト・サイド・ストーリー」の流れを汲む王道路線なので、最終的には誰でも楽しめる作りになっている。

ところで、邦題の「マイ」はどこから出てきたんだ? 4つのエレメントが共存する世界観がポイントなのに、その中からまるでどれかひとつがメインと言わんばかりに「マイ」を加える意味が分からない。余計な事はしないで欲しい。