一人旅

NOCEBO/ノセボの一人旅のレビュー・感想・評価

NOCEBO/ノセボ(2022年製作の映画)
4.0
ロルカン・フィネガン監督作。

『ビバリウム』(2019)で話題となったロルカン・フィネガン監督の新作で、突如として原因不明の体調不良に陥ったヒロインが遭遇する未曾有の恐怖を描いたホラー映画です。

ダブリン郊外の邸宅で夫と一人娘と暮らしている気鋭のファッションデザイナーであるクリスティーンは、ダニに寄生された不気味な犬を目撃したことを発端に原因不明の体調不良に陥るが、そんな中、住み込みの家政婦として雇ったフィリピン人女性が施す民間療法が彼女の体調に変化をもたしていき…という“呪術+疾患ホラー”となっています。

『ビバリウム』を撮ったロルカン・フィネガンらしく、全編を覆い尽くす不穏&不安な空気感覚のもと展開される白昼夢的なホラー作品です。謎の病気によって心身共に衰弱したヒロインと、救世主のように彼女の前に現れたフィリピン人家政婦との親密な付き合い&治療の進展を軸に物語が進行していきながら、ヒロインと家政婦を巡る陰惨な過去の真実が解き明かされていきます。先読みを許さない二転三転の展開の果てに、遠い異国のフィリピンで起きた出来事との奇妙な相関の明示が不気味な決着を迎える異色ホラーで、主演のエヴァ・グリーンの疾患演技は観客の気分を損ねるほどリアルを追求しています。
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