ぶみ

ワイルド・ロードのぶみのレビュー・感想・評価

ワイルド・ロード(2022年製作の映画)
3.5
途中下車は許されない。

アンドリュー・ベアード監督、コルソン・ベイカー主演によるサスペンス。
犯罪組織から金と麻薬を盗んだ主人公が、長距離バスで逃避行する姿を描く。
主人公となるフレディをベイカー、フレディの父親をケヴィン・ベーコン、バスに乗る少女レイチェルをストーム・リードが演じているほか、トラヴィス・フィメル、ドレア・ド・マッテオ等が登場。
物語は、腹部を撃たれたフレディが、何とか長距離バスに乗り込むシーンでスタート、以降、犯罪組織に追われる様が中心となり、イメージビジュアルにはノンストップ・アクションの文字が躍り、予告編でもアクションシーンが散見されるのだが、前述のように、主人公は瀕死の重傷で殆ど動けず、ほぼバスの中で物語が展開していくため、ノンストップはまだしもアクション作品というのは少々言い過ぎで、その実はワンシチュエーションスリラーとも言えるもの。
ただ、登場人物は少ないながらも、途中、何度かバスストップに止まることとなり、その度に話に動きがあるため、観客を飽きさせない仕上がりとなっている。
何より、後にウィル・メリック、ニック・ジョンソン監督による傑作スリラー『search/♯サーチ2』で主役を演じたり、はたまたマイケル・チャベス監督の『死霊館のシスター 呪いの秘密』でシスターを演じることとなるリードが、本作品でも物語の鍵を握る少女レイチェルを演じているのが印象的だったのだが、それ以上にフレディが電話で助けを求めるベーコン演じる父親の世捨て人感が半端なく、その存在感たるや流石の一言。
いかにも安っぽい雰囲気の邦題に対し、一方通行や片道の意味となる原題『One Way』のほうが、遥かに本作品のミステリアスな雰囲気を表しているとともに、前述のように、バスはノンストップかもしれないが、それほどスピード感はなく、ましてやアクション作品を期待してしまうと見事に裏切られることになるものの、会話劇中心のワンシチュエーションドラマとしては、なかなか面白い出来栄えであり、相変わらずベーコンしているベーコンを観たければうってつけの一作。

どこにも味方がいなくても、自分を信じるんだ。
ぶみ

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