【無理だべーと2023】
1878年、オーストリア皇妃エリザベート40歳の1年間を描きます。
美貌の皇紀というイメージを叩き壊す、ヴィッキー・クリープスの怪演が見ものです。
精神的にも肉体的にも苦しんだ後の、あのラストには「あれ?」となります。
というのも、この後、更なる苦しみが彼女に待ち構えているのを、史実として知っているからです。
1889年、息子ルドルフ皇太子が自殺し、彼女は死ぬまで喪服を脱ぐことはありませんでした。
1898年、旅行中のジュネーヴ・レマン湖のほとりで、イタリア人の無政府主義者ルイジ・ルケーニに鋭く研ぎ澄まされた短剣のようなヤスリで心臓を刺されて殺害され、その生涯を閉じます。
ですので、あのラストの行動は何を意味しているのでしょうか?
厳格で形式的で窮屈な皇室からの飛翔という幻覚なのでしょうか?
2023年、ケイト・ブランシェットの「TAR/ター」と並び、「この終わり方何だべ?」「理解すんの無理だべ-」と思わざるを得ない女性映画です。