マンティコア　怪物のみちゃまるのネタバレレビュー・内容・結末

マンティコアとはライオンのような胴体と人間の顔を持ち、人を喰らうという伝説の生き物。

主人公のフリアンは人との関わりを持たず、特定の人とも付き合わず、どちらかというと密な関係を避けてきた男性。しかしとある出来事をきっかけに、自分の中に抱えていた怪物を見出してしまう…。
クリスチャンの家を訪れてからのフリアンは目がガンギマリで、それまでの彼とは別人のようだった。それでもクリスチャンの絵を見て自分が人の顔をした怪物だと悟ったのか、我に返った途端に窓から飛び降りてしまう。元々内向的なフリアンは、結局のところ人に牙は向けないのだろう。
フリアンといい感じだった女性、ディアナも彼の異常性癖を知ると突き放すも、結局は脊髄損傷に至ったフリアンの介護を始める。それは亡くなったディアナの父親の代わりであるかのように。ラストでフリアンの介護をする彼女は、なんだか嬉しそうだった。介護がディアナの生活の全てとは言わないまでも、元々父親の介護をしている自分にどこか満足感を得ていたのだろうか。ただの憐れみだけでは片付けられない、ディアナの性癖のようなものを感じた。

自分の中に巣食った怪物は理性で抑えられず、自分自身を蝕んでいく。ちょっとしたきっかけで、簡単に理性は崩壊する恐ろしさ。
しかし誰でもこういう言えない秘密や性癖はあると思う。ただ大多数の人は怪物まで至っていないだけで。

日本大好きな監督さんなので、そこら中に日本要素が散りばめられていて嬉しかった。