コーディー

マンティコア 怪物のコーディーのレビュー・感想・評価

マンティコア 怪物(2022年製作の映画)
4.1
世を忍ぶ仮の姿でロマンスに浸り、愛に生きれるのなら、怪物とやらは何処へ…
ある衝動に目覚めるも堕ちることなく〝仮〟と思われた存在に満たされていくフリアン。怪物を飼ったまま不自由なく人間を描いていた彼が不意に気付かされるタブーとの境界をひたすら抑えた展開で見つめる異色作!

ゲームのクリーチャーデザイナーの仕事をするフリアンの〝人間を作るのが一番難しい〟という言葉どおり、性的倒錯に目覚める彼の不安や恐れ、複雑な精神状態を物語に投影しながら、けれど物語の軸はあくまでロマンスという変則的な展開。
パニック発作やゴヤの黒い絵、さらには〝魔界村〟に至るまでw異常への目覚めを印象付ける多様なモチーフも不気味で良い!

徐々に怪物に侵蝕される主人公。みたいな有りふれた物語ではなく、人間が陥る異常性をより悲観的に見つめながら、更なる領域へと誘う。
監督の過去作『マジカル◦ガール』にも通ずる刺激的な気持ち悪さに包まれたし、不穏な物語の中にしっかり純粋さも潜ませるベルムト監督の仕掛けに翻弄されまくりでしたw

と、途中まで〝これ何の映画やっけ?〟ってテーマを見失いかけてたけど、終盤の緊張感など、愛情と依存、歪みにまつわる生々しい視点に最後まで惹きつけられたし、めちゃ面白かった。

あと、今作も監督の日本への愛を感じるシーンがチラホラあってなんか嬉しかったw