KOUSAKA

葬送のカーネーションのKOUSAKAのネタバレレビュー・内容・結末

葬送のカーネーション(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

予告編を見て「絶対見たい」と思っていた作品です。シリア難民のハードな現実に目を向けさせつつも、どこか幻想的でロマンチックでファニーな感触を内包している作品でした。

主役の2人(ムサとハリメ)はほとんどセリフがなく、あるシーンでは孫娘ハリメの右手のケロイドにギョッとさせられる。彼女が言葉を失うほどショックな出来事があったんだろうと想像させる演出で、おそらく戦禍に巻き込まれて両親を亡くしたのかなとここで思いました。

オープニングと呼応するかのように、ラストは歓喜のダンスに迎え入れられるムサ。国境を超えて戦火真っ只中にある故郷の地で死ぬことにこだわった彼の尊厳を祝福しているという事なのでしょうか。しかしハリメには危険な国境を越えさせずトルコに留まらせました。まだまだこれからの未来がある(はずの)幼いハリメには「生きていて欲しい」と思ったのかもしれません。

ただ、亡き妻は国境手前で埋葬させられて「約束」は果たせなかったのに、ムサがそれでも国境を越えるというのは腑に落ちなかったので(しかもあんなにあっさりと国境を越えられるのも変なので)、おそらくあのラストのくだりは実際のリアルな行動ではなく、ムサの心象風景や願いを表現した演出なのかもしれないと思いました🧐
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