Shun

ボーンズ アンド オールのShunのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
3.6
『君の名前で僕を呼んで』が大好きなので、ルカ・グァダニーノ監督とティモシー・シャラメの再タッグは見逃せないと思い観に行きました。

R18指定でカニバリズムを題材にしているので、エグい描写があるのかな?共感性ゼロなんだろうなと当初は思っていました。

が、人の内臓が露わになるようなキツい描写は一切なく、それほどグロくないので幅広い方に見てもらえるように作っているのかなと感じました。

また、ティモシー演じるリーとテイラー・ラッセル演じるマレンの2人とも人食いなのですが、無作為に人を殺して食べているわけではなく、ちゃんと被害が少ない人を選んでいるので、めちゃめちゃ共感できるわけではないですが、話についていけなくなることはありませんでした。

簡潔に感想を述べると、
思わず人を食べたくなる衝動が抑えきれなくなる2人の悲哀と純愛がずっしりと伝わってくる異色の物語だと思いました。

本作の主人公はリーではなく、マレンです。
自分は何故人肉を欲してしまうのか、その真相を確かめるために、幼い頃に家を出て行ってしまった母親の元を訪ねるロードムービーとなっています。

そんな普通の人と違う彼女が同族のリーと出会い、互いに旅をしていく中で共感しあって恋に落ちていくという純愛なラブストーリーでもあるのが普遍的なところ。

そんな二人が行き着く究極の愛の形がタイトルに込められているのだと感じました。

恐怖を煽る音楽が多いのかと思いきや、苦しむ彼らに同情するかのような優しい音楽が多いのが印象的でした。

口元が真っ赤なティモシー・シャラメもすごく絵になりますが、同族を演じたマーク・ライランスの狂気的な演技が頭から離れません。
なんと言うか、気味が悪くて変態なんです。
〝静〟の人間の内なる狂気に、ゾクゾクしてしまうほどのリアリティを与えられる凄い俳優だと思いました。

個人的に、マイケル・スタールバーグがティモシーと再共演してるのにアガりました😊

『君の名前で僕を呼んで』の続編、いつになったら製作されるんでしょうか?
…というか、アーミー・ハマーもカニバリズム的発言をしてたのを今思い出しました。

監督、色々複雑な気持ちになっただろうな…
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