グシケン

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのグシケンのレビュー・感想・評価

3.7
自分も優しいねと言われるたびに、本当にそうか?と思うことがよくある。そして、優しいけど実は無関心なだけじゃない?と言われたこともあり、確信を突かれた気がしたことがある。
本作の登場人物は、そういうことに気が付いて塞ぎ込んでしまったり、優しさや共感を装った無関心の空気が無自覚に創出される人間関係に嫌気がさしたり、人を傷つけることも自分が傷つくことも避けるために、人と深く対話することを避けたり、色んな悩みを抱えながら、傷つくことも傷つけてしまうこともないぬいぐるみに胸の内を吐露する。これが大学というプライベートな人間関係において最も対話の同調圧力の強いコミュニティが舞台となっているのが面白い。
でも本作の最後にはなんやかんやで(このなんやかんやが自分にはよくわからなかったが)人との対話が不可欠という結論に行き着く。
そして、ラストはお前が一番優しいんかいという意外な人物のセリフで幕を閉じる。

共感できたかというとあんまりできてない。優しさ云々というより、あまりに繊細すぎて生きづらそうかわいそうという感情しか湧かなかった。
ただ、締めくくりのセリフがよかったのと登場人物の行動原理はよく理解できたのでよかった。
グシケン

グシケン