カツマ

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらないのカツマのレビュー・感想・評価

4.3
それが幸福な一週間ならどんなに良かっただろう?だが、残念ながらループするのは激務に追われる一週間。夢のように目覚めては現実のように月曜日の朝を迎える。何故だろう、終わらない。どういうわけか終わらない。出口の鍵を握る人物は分かっているのに。だって会社は腹が立つほど回りくどい。だけどきっと、そんな日々も悪くはない?よね。

円井わん、マキタスポーツらが出演する本作は、お仕事映画のタイムループもの、という斬新なアイディアで大きな話題を攫った作品だ。2022年に公開され、その一年後にようやくのNetflix配信となり、更に多くの人に鑑賞される作品となっていくことだろう。製作はCHOCOLATE Inc.。そこに所属する竹林亮は『14歳の栞』に次ぐ二本目の長編映画となる本作で大きな成功を収めた。本作はどこにでもあるタイムループにあらず。鑑賞後には温かい余韻に包み込まれていることだろう。

〜あらすじ〜

広告代理店で働く吉川は休日返上の激務をこなし、月曜日の朝を会社のデスクで迎えていた。デスクの上で突っ伏して寝ていた吉川は、鳩がオフィスの窓に激突する音で目を覚ました。周りを見回すと、他のメンバーも泊まり勤務で疲れ果てている様子だったが、後輩の遠藤と村田の様子は何やらおかしい。そこへ部長が『モーニン!泊まり?若いね〜』と言いながら参上し、いつも通りの月曜日が始まった。
かと思いきや、遠藤と村田は吉川に奇妙なことを話し始める。彼らが言うには、自分たちはタイムループしている、というのだ。心身共に疲れていた吉川は二人の荒唐無稽な話をとりあえず無視したが、二人が残した『鳩です』の合図は辛うじて覚えていた。
そして、次の月曜日。吉川は窓に鳩が激突する音で目を覚ました。そして、遠藤、村田と視線を交わす。そこは一週間前と全く同じ月曜日。吉川たちは本当にタイムループしていたのであった・・。

〜見どころと感想〜

今作は、お仕事とタイムループ、という交わることはなさそうなジャンルが合体した非常に珍しい作風を持っている。タイトル通りのストーリーで、部長にタイムループを気付かせなくては前に進めない、という設定をゴリ押ししてくる作品である。理屈もないし、筋も通っているのか不明だが、最後、何故か感動してしまう。そこに横たわるのはとても普遍的な人生の物語。軽薄なようで実は真摯なメッセージが密かに胸を打つ。

主演の円井わんは主演を務めた『コントラ』がやはり代表作だと思うけれど、大作ではまだ小さな役が多いため、今作で大きな知名度を獲得したことで確実にステップを踏んだはず。そして味があり過ぎる部長役を演じたマキタスポーツは、元々は芸人だけれども、現在はテレビドラマ、映画などへの出演本数多数で、俳優としてのイメージもかなり強くなっている。そして『カメラを止めるな!』でお馴染みのしゅはまはるみがチョイ役で登場。かなり見つけづらいので、友情出演なのかもしれない。

82分という絶妙な上映時間の中を何度も行き来する一週間。ほぼオフィス内の話だが、回りくどくないため、退屈する時間は皆無。仕事と人間関係の距離感を上手く描いていて、そのため、どこか共感ポイントを探してしまう作品である。タイムループが終わってしまった時のためにもしっかりと仕事もしておかなくちゃ、、!なんて自分も考えてしまいそうだけど、ずっと繰り返しが続くなら仕事はしないかな、と思ったのも束の間、そのあたりもしっかり回収されていたのでした、、笑

〜あとがき〜

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

今年の一本目はこの映画にしました。本来なら劇場で観たかったのですが、奥さんが第一子の出産直前だったために断念。ようやく観ることができました。期待通り面白かったですね。後半の部長のくだりが結構良くて、誰のためなのかもよく分からない涙を流しました笑

仕事は大変だけど、自分も地味な人生がいいかな。奥さんと子供たちがいれば十分幸せ。そう思わせてくれる映画でした。あと、リリカルスクールピックアップは熱かった。リリスク再評価の波が来ている!?と少し思えた作品でした。
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