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野いちごのmimicotのレビュー・感想・評価

野いちご(1957年製作の映画)
3.9
"野いちご"は青春時代の思い出
美しくて、詩のようなロードムービーでした。

タルコフスキー監督のオールマイベスト作品。

晩節になって死や孤独に苛まれ、人生を後悔するのは他人に冷たくしてきた罰なのか...

医者である老人イーサクは、授与式に旅立つ前日の夜、何かを暗示するのか...シュールレアリスムの絵画のような、奇妙な自分の夢をみる。

縁の深い場所を巡りながら、現地へと向かう旅の一日に、夢と回想と現実が交互に現れ、時空までもが交差する。まるでイーサクの一生を凝縮して見たようだった。

人生の始終が走馬灯のように蘇る
悪夢の不気味さ
白夜の美しさ
現実のリアルさ

カメラが捉えたその情景が神業。イーサクの心の深淵を覗き見してるようです。
白黒映像の光と影のバランスが、奇妙だったり、おどろおどろしかったり。カラーよりも感情が伝わってきた。さすが映像の魔術師ベルイマン!

人はひとりでは生きられない

年を重ねると頑なで、態度や考えを改めようとしないけれど、それを運命と諦めるのではなく立ち向かう姿が素晴らしい。

心の奥にある思いが夢となって表現されていますが、一日の終わりにはその夢までも変化してるという、夢で始まり夢で終わる物語の閉じ方が素敵。
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