スワヒリ亭こゆう

カラオケ行こ!のスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
4.5
原作既読。
マンガを読んで面白かったので、興味があったんですけど、サブスクで観れたら良いかなって思っていました。
ですが本作が公開されてから、あまりの評判の良さに観たくなりました。
最近では原作の映像化に対して色々と問題点が浮き彫りになり論争を読んでいます。基本的には創作物は原作者が作品に於いて神様でなくてはならないと思いますね。作品が完結してるならば映像とマンガは別物で勝手にどうぞ!って出来るんでしょうけど連載中の作品を勝手に設定変えるのはダメですよね…

映画の話に戻しましょう。
本作を映画化する事に関してマンガよりも面白く出来ないと決めつけていたんですけど、どちらが上かは分かりませんが『カラオケ行こ!』は映像化する意義がありました。本は音が無いからです。
マンガの中で描かれている歌唱シーンが映像で聴こえてくるのは観ていて楽しかったですね。

本作のメインテーマ曲『紅』(X)が面白いですね。
この面白さを紐解くと、まず『紅』=Xの丁度いい古さとダサさ。それとボーカルToshiの唄の上手さから想像出来るカラオケの難易度の高さ。これを唄いこなせない狂児(綾野剛)を音の無いマンガでも容易に想像が出来ます。
30代後半から50代にかけて絶妙な選曲だと思います。
この選曲のセンスが素晴らしいです。

映画では原作のストーリーが面白いし、全1巻の作品なので原作を変に脚色しなくても映画化しやすいのが良かったと思います。マンガを知らなくて映画を観た人も面白いでしょうね。
『紅』が序盤は面白いんです。ストーリーが進み、聡実(齋藤潤)と狂児の関係性が深まるとストーリーと『紅』がリンクして心を揺さぶる演出になってくる。この変化が絶妙でした。映画化した意味が、この演出によって表現されてました。
綾野剛さんのヤクザ・狂児は似合ってないんじゃないかなって思っていたんですけど、狂児の優しさが滲み出ていて良い配役でした。
聡実役の齋藤潤さんも初めて拝見しましたが、ピッタリの配役でした。
芳根京子さんも素敵です。この人のお芝居は本当に上手だし可愛いんですよね。
男臭くならない事と中学生の聡実をキチンと描く上で合唱部のシーンも大事ですから、芳根京子さんが良い意味で緩和させています。副部長役の女の子も良かったですね😊

マンガも傑作ですけど、映画も良かったです!